JSF+AjaxでUIコンポーネント開発 with Shale Remoting (14)

double-selectコンポーネントの動作確認を行うためのtest-dsプロジェクト作りも2回目となった。 前回のエントリでは,double-selectコンポーネントをページに配置するためのJSPファイルを作成し,double-selectタグの属性値としていくつかManagedBeanとの連携を記述した。今回は,連携するManagedBeanのクラスを紹介しよう。

まずは簡単な方から。double-selectコンポーネントの選択値を得るためのManagedBeanを,ParameterBeanという名前のクラスとして作成する。

package jp.eisbahn.testprograms.jsf.test; public class ParameterBean { private String[] selectedValues; public String[] getSelectedValues() { return selectedValues; } public void setSelectedValues(String[] selectedValues) { this.selectedValues = selectedValues; System.out.println(“setSelectedValue: “ + selectedValues[0] + “, “ + selectedValues[1]); } }

selectedValueプロパティを持つだけのシンプルなクラスである(本来はSerializableインタフェースを実装する必要があるが省略)。 前のエントリで,double-selectコンポーネントの2つのselectタグがサブミットされた結果は,Stringの配列でUIコンポーネントに渡されると紹介した。今回はコンバータの指定を行っていないので,EditableValueHolder#setSubmittedValue()メソッドに渡したオブジェクトがそのままバリューバインディングされる。よって,selectedValueプロパティもString[]型にしている。setterメソッドが呼び出されたことがわかるように,メッセージを出力するようにしておこう。

ParameterBean.javaファイルを ここからダウンロードして,以下の場所に配置して欲しい。

・[Eclipseワークスペース]/test-ds/src/main/java/jp/eisbahn/testprograms/jsf/test

では,難しい方に取り掛かろう。double-selectコンポーネントの選択肢をJSON形式のテキストで出力する処理を持つManagedBeanを,SelectItemsProducerという名前のクラスで作成する。

package jp.eisbahn.testprograms.jsf.test; import java.io.IOException; import java.util.Map; import javax.faces.context.FacesContext; import javax.faces.context.ResponseWriter; import org.apache.shale.remoting.faces.ResponseFactory; public class SelectItemsProducer { ・・・ }

SelectItemsProducerクラスも,特に変わったことはない,普通のPOJOである(本来はSerializableインタフェースを実装する必要があるが省略)。このクラスは,左右の選択肢を出力するための2つのメソッドを持つ。では最初に,左の選択肢を返す処理を行うgetLeftSelectItems()メソッドから見ていこう。

public void getLeftSelectItems() throws IOException { FacesContext context = FacesContext.getCurrentInstance(); ResponseWriter writer = (new ResponseFactory()).getResponseWriter(context, “text/javascript;charset=UTF-8”); StringBuffer sb = new StringBuffer(); sb.append(“[\n”); sb.append(“{‘label’:’JR’, ‘value’:’1’},\n”); sb.append(“{‘label’:’東京メトロ’, ‘value’:’2’},\n”); sb.append(“]”); String response = sb.toString(); writer.write(response); context.getResponseComplete(); }

getLeftSelectItems()メソッドでは,選択肢をJSON形式の文字列として構築し,それをResponseWriterオブジェクトを使用してWebブラウザに送信している。

ResponseWriterオブジェクトは,Shale Remotingが提供するResponseFactoryクラスを使用して取得している。FacesContextクラスにもResponseWriterオブジェクトを得るためのgetResponseWriter()メソッドはあるのだが,これは基本的にHTMLを送信するためのResponseWriterオブジェクトを返す。例えば,Sun RIで提供されるHtmlResponseWriterクラスでは,script,style,そして”javascript:”で始まるURIへの対応などが処理される。それに対して,Shale Remotingが提供するBasicResponseWriterクラスでは,HTMLに特化した処理が省略されているため,XML形式やJSON形式でコンテンツを出力するのであれば,HtmlResponseWriterクラスに比べて効率が良い。よって,ここではResponseFactoryクラスを用いてBasicResponseWriterオブジェクトを取得し,それを使ってJSON形式のテキストを出力している。

json-ds-left-select-items.jpg

JSON形式のテキストを送信する場合は,Content Typeとして”text/javascript”を指定する。また,マルチバイト文字を正しくWebブラウザに処理してもらうために,UTF-8をキャラクタセットとして同時に指定している。選択肢は,ここでは”JR”と”東京メトロ”の2つとしている。JSON形式とするために,各選択肢を中括弧で括り,全体を大括弧で括っている。この文字列を,取得したResponseWriterオブジェクトのwrite()メソッドに渡して出力している。

AjaxとShale Remotingの機能によって呼び出されたこのメソッドの最後の処理として,FacesContextオブジェクトのresponseComplete()メソッドを呼び出している。Shale Remotingによる動的ManagedBean呼び出しでは,基本的にそのメソッドが処理結果をWebブラウザに出力することで処理が完結するため,以降のJSFのフェーズを実行する必要がない。よって,ここでresponseComplete()メソッドを呼び出すことで,LifeCycleオブジェクトにフェーズの完了を指示している。

もう一つの右の選択肢を出力する処理を行うgetRightSelectItems()メソッドは,基本的にgetLeftSelectItems()メソッドとやっていることは変わらない。ただし,Webブラウザから送られた左の選択値を得て,出力内容を変化させている。

public void getRightSelectItems() throws IOException { FacesContext context = FacesContext.getCurrentInstance(); Map parameterMap = context.getExternalContext().getRequestParameterMap(); Object selectedValue = parameterMap.get(“fv”); ResponseWriter writer = (new ResponseFactory()).getResponseWriter(context, “text/javascript;charset=UTF-8”); StringBuffer sb = new StringBuffer(); sb.append(“[\n”); if (“1”.equals(selectedValue)) { sb.append(“{‘label’:’宇都宮線’, ‘value’:’1’},\n”); sb.append(“{‘label’:’高崎線’, ‘value’:’2’},\n”); sb.append(“{‘label’:’京浜東北線’, ‘value’:’3’},\n”); } else if (“2”.equals(selectedValue)) { sb.append(“{‘label’:’日比谷線’, ‘value’:’1’},\n”); sb.append(“{‘label’:’東西線’, ‘value’:’2’},\n”); } sb.append(“]”); String response = sb.toString(); writer.write(response); context.responseComplete(); }

Webブラウザから送信されたリクエストパラメータの取得方法は, 前のエントリで紹介した,double-selectコンポーネントのDoubleSelectRendererクラスのdecode()メソッドと同じである。つまり,ExternalContextオブジェクトにあるRequestParameterMapオブジェクトから取得すれば良い。

test-dsプロジェクトでは,double-selectコンポーネントの動作確認ができれば良いので,左右の選択肢は固定的なものを出力している。double-selectコンポーネントを実際に開発案件の中で使用するときには,選択肢の内容をデータベースから取得したりするなどの処理が行われるだろう。それに伴ってエラー処理などが必要となるだろうが,説明したいことの本質ではないので内容としないでおく。

SelectItemsProducer.javaファイルを ここからダウンロードして,以下の場所に配置して欲しい。

・[Eclipseワークスペース]/test-ds/src/main/java/jp/eisbahn/testprograms/jsf/test

上記の例では,JSON形式の文字列を原始的な手段で構築したが,実際には「 JSON-lib」などのJavaBeans-JSON変換を行ってくれるライブラリを使用すると良いだろう。

今回の内容で,説明すべき内容はほぼ網羅した。あとはfaces-config.xmlファイルとweb.xmlファイルを記述するのみである。次回は,残り2つのファイルを紹介し,いよいよtest-dsプロジェクトを実行してdouble-selectコンポーネントの動作を確認してみよう。つまり,次回が最終回となる,予定である。が,たぶん最終回にならない。。。

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