ミニアイデアソンのススメ

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2026年5月9日、大阪にて「GDG on Campus Japan 関西合同新歓 2026」というイベントが開催されました。大阪会場には、約60名の大学生(ほとんどが1~2年生)の方々が来場してくださいました。さらに、金沢と会津にもサテライト会場が用意されていて、そちらにも参加されている方々がいらっしゃいましたので、全体としてはおそらく80名は超えていたんじゃないかなと思います。

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これら3つの会場はオンラインでつながっていて、メインとなる大阪会場で実施した「パネルディスカッション」と「ミニアイデアソン」を、他の会場でも視聴しつつ、現地でも一緒にやってもらう、そんな感じでコンテンツが進行していきました。

このイベントで、僕は「ミニアイデアソン」のファシリテーションを担当させていただきました。今回のブログエントリでは、その内容について記録として残しておきたいと思います。

ミニアイデアソンの構成

ミニアイデアソンは、全体で4つのパートに分かれています。

  • チームビルディング
  • アイデア決め
  • プロトタイピング
  • 成果発表&投票

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全体で与えられた時間は、なんと90分ほどしかありません。この限られた時間の中で、「チームでアイデアを一つに決め、プロトタイプまで制作し、さらに他チームの成果を見て投票を行い、上位のチームには表彰まで行う」というところまで、すべてを完遂させなければならない、という設計です。文字に起こしてみると、なかなかの難易度だということが伝わるんじゃないかなと思います。

ファシリテーターに求められたこと

依頼を受けたとき、僕に課せられた役割は、こう理解しました。様々なリスクを考え、そのリスクが現実にならないようにあらかじめ回避策を検討し、基本的に何が起きても最小の工夫で乗り切ることができる、現実的なプランを考えること。これが、僕がやるべきことだったかなと思っています。

人前で話す経験、つまり登壇の経験は、これまでにめちゃくちゃ積み上げてきました。ハンズオンやハッカソンを仕切ってきた経験も、それなりにあります。ただ、「短時間で多くの人々をゴールまで導く」という経験は、正直あまりなかったかなと思っていて、僕にとっても今回のファシリテーター役は、かなりのチャレンジでした。

チームビルディング

ファシリテーターとして、まず頭を悩ませたのがチームビルディングでした。最初は、こんな風に考えていました。

  • あらかじめ参加時に「作りたいアイデア」を応募フォームに入力してもらう
  • 運営側で、作りたいアイデアのカテゴリを見いだして、カテゴリごとにチーム分けをしておく
  • 当日は、決められたチームごとに席を作っておいて、参加者を席まで誘導する

これであれば、自然と似たようなアイデアを持った人同士でチームを組むことができますし、チーム数もイベント開催時には確定した状態になります。きっとアイデアの具体化も進みやすくなり、プロトタイプの精度も高くなって満足度が上がるんじゃないかな、と想像していました。

しかし、いくつかの点で、これにはリスクがあることがわかりました。まず、応募時に「作りたいアイデア」を求められたら、「え、なんか大変なイベントかもな、参加するのやめよっかな」と思ってしまう人が出てきてしまうんじゃないか、という懸念があります。「作りたいもののアイデアありますか?」って聞かれて、即答できる人なんて、そうそういません。また、今回は「アイデアソン」であって「ハッカソン」ではないので、アイデアを出すところからスタートしないといけないわけです。それなのに、事前に「作りたいアイデアありますか?」って、そもそも変な質問だなと気づきました。

これらのリスクを踏まえて、チームビルディングの方法を根本から考え直しました。具体的には、以下としました。

  • 1チームの人数を4名と決めておく
  • 会場の机について事前に確認したところ、4人で1テーブルが物理的に可能だったので、あらかじめ4人がそれぞれ向かい合うように机と席を配置しておく
  • 全ての机の上に、あらかじめ「チーム A」「チーム B」・・・と書いてある紙を置いておく

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これにより、参加者が来場したときに「あ、4人でチームを組むんだな」ということが自然とわかるようにしておきました。友達と参加している人たちも多いと予想していたので、そういった方々は同じ机に座るはずで、ある程度チーム分けを自然と誘導することができるんじゃないかなと考えました。あとは、なるべく奥の机から空いている席が出ないように、4人1チームとして来場してくる参加者に声をかけて誘導していく、ということを行いました。

結果としては、4人1チームが特段大きな混乱もなく、自然とできあがりました。2チームほど5名、6名となってしまいましたが、途中から来場してきた人もいたので、これは仕方ないことかなと思っています。

アイスブレイクとツールに慣れる時間を兼ねる

これで、チームビルディングの最初に行うべきチーム分けができました。次に大事なのは、チームとしてメンバー同士を認識すること、つまり「お前、誰?」っていう状態から、お互いのことをちょっとだけ知っていて、会話ができる状態に引き上げることです。これは単純に「自己紹介」をして、チームメンバーで何か簡単なことを成し遂げる、ということをすれば良いわけです。当初、イベントの組み立てを考えていた段階では、自己紹介とゲームは、他のスタッフがまとめて担当する(= アイスブレイクセッション)、という形になっていました。

ただ、ミニアイデアソンの担当である僕としては、90分間でプロトタイプ制作までやらないといけない、というミッションがあります。そのためには、参加者がプロトタイプ制作を行うためのツールに、あらかじめ慣れておいてもらう必要がある、と想像していました。でも、ツールの使い方をゼロから説明している余裕は、90分間の中にはありません。それでも、ツールの利用に慣れていることは絶対に必要です。

ちなみに、プロトタイプ制作で使うツールには、Google が提供する AI を活用した UI デザインツールである Stitch を採用しました。実は、最初僕は Google AI Studio の Build 機能を使おうと考えていたのですが、イベント運営スタッフの方から「Stitch の方が向いているのでは」というアドバイスをいただきまして、改めて試してみたところ、確かにこちらの方が今回のミニアイデアソンには適していると思い直しました。このアドバイスは、今回のミニセッションを成立させたターニングポイントだったと思っています。本当に助かりました。

このアドバイスをくれたアイスブレイクセッション担当の方と相談して、自己紹介のときに「Stitch を使って自己紹介ページを作って、それを使って自己紹介する」ということをやってはどうか?という話になりました。僕が事前に、Stitch に対して自己紹介ページを作る際のプロンプトのサンプルを提示します。そして、名前、所属、学年、趣味、といった自己紹介項目も規定してしまいます。

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ちなみに、以下のテンプレを提示しました。

以下の人物を視覚的および効果的に表現した自己紹介ページを作ってください。日本人向けのページにしたいので、日本語で作成してください。コンテンツはあまり増やさずに、以下の情報が確実に伝わるデザインにしてください。趣味をメインにした構成が好ましいです。
- 名前:
- 所属:
- 学年:
- 趣味:
- 好きな食べ物:
- 最近の失敗談:

参加者は、Stitch に決められたテンプレで指示を出すだけで良くて、それなりに個性的なデザインで Stitch がページを作ってくれます。自己紹介に必要な時間も短縮できて、話すことが苦手な参加者の方も自分のことをメンバーに伝えることができ、しかもミニアイデアソンでプロトタイピングをするときには、ツールの使い方をすでに知っている。そんな状態に、皆さんを移行させることができました。

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アイデア決めの設計

アイスブレイクが終わったあとは、パネルディスカッションのコンテンツでした。こちらは僕の担当ではなかったので、その内容を聞きながら、ちょっと一休みさせてもらっていました。そして、ミニアイデアソンの時間になりました。いよいよ、本気を出す時間がやってきました。

今回のミニアイデアソンのテーマは、参加者が大学生・大学院生の方々ということもあって、「大学生活で役に立つアプリ」としました。

そして、参加者の方々が「アイデアが一つも思い浮かばない…」となってしまうことを避けるために、事前に Gemini に8個ほどアイデアを考えさせておいて、それを僕から例として提示するようにしました。これで「どんなアイデアを考えれば良いのか」の方向性を、ある程度誘導できたかなと思います。

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また、ミニアイデアソンの中でも、Gemini を使って AI にアイデアを考えさせること自体を、今回は良しとしました。AI 時代ですから、自分の頭だけで考えるのではなく、「AI に考えさせたものから取捨選択する」という能力も同じくらい大事です。というか、これからはそれこそが大事になってくるんじゃないかなと、僕は思っています。

まずは、チームで一つアイデアを決める、というところから始まります。いきなり一つだけに絞ることはできませんので、Design Sprint 風に、発散させたあとに収束させる、これを1ターン行うことにしました。具体的には、以下の流れを考えました。

  • 個々のメンバーが、アイデアをとにかく多く考えて書き出す
  • 個々のメンバーが、書き出したアイデアから2つを選択する
  • 選択された2つのアイデア、つまり全部で8個(4人×2個)のアイデアを共有する
  • 各メンバーが自身のアイデアを説明する
  • 一人2票で、良いと思ったアイデアに投票する

普通であれば、付箋、シール、ペンを大量に買っておいて、アナログで実施するところです。しかし、今回は90分という時間制約があります。付箋を貼ったり、そもそも貼るために席を立ったりする時間さえも無駄にしたくありません。

それに、このアナログの手法には「他者の作業に影響を受けてしまう」というデメリットもあるかなと、前から個人的に思っていました。アイデアを多く出した人、付箋を貼る順番、文字の大きさ、などなど、参加者は無意識のうちに他のメンバーから影響を受けてしまうものです。そういったデメリットを排除して、短時間で、確実に、アイデアを多く出して、できるだけ公平に、チームで一つ良いアイデアを導きたい。そう考えていました。

アイデアを出し合い、絞り込む

そこで、今回は自分でアプリを作ることにしました。その名も「Note and Vote」です。

進め方は、こんな感じです。まず、チームの中から一人、ファシリテーターを決めます。ファシリテーターは、Note and Vote アプリで新しいセッションを作ります。セッションが作られると、参加するための URL と QR コードが発行されますので、メンバーはそのURLにアクセスしてセッションに入ります。

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セッションに4人が揃ったところで、ファシリテーターが発散開始のボタンを押します。すると、メンバーの画面が自動的に切り替わって、5分間ひたすらアイデアを考えて画面上で付箋を追加していく、という作業が始まります。

5分間ひたすらアイデアを絞り出している参加者の皆さんに向けて、僕はマイクで「さー、もっと絞り出せますよ〜」とか「人に笑われてしまうようなアイデアこそ良いアイデアですよ〜」と時々言いながら、できるだけ一つでも多くアイデアが出てくるように促していました。参加者にとっては「うるさいなぁ」だったかもしれませんが。

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5分が経過したら、ファシリテーターに発散終了ボタンを押してもらいます。次にやることは、数多く出したアイデアの中から2個だけを選択する作業です。これも、他のメンバーのアイデアがまだ見えない状態のまま行います。1分ほど時間を取って画面上で2つ選んでもらい、ファシリテーターに公開ボタンを押してもらいます。ここで初めて、チーム内の合計8個のアイデアが画面上に表示されます。

ここからは、各メンバーが自身のアイデアを説明するターンになります。各チームのファシリテーターには、僕から以下のようにお願いしました。

  • Note and Vote アプリに表示されている各付箋をタップすると「説明中」というマークが出る
  • 一つずつ付箋を選択していき、「これを書いた人、説明お願いします」と促していってもらう
  • 一つのアイデアあたり30秒、長くても1分以内に説明を終えてもらう。説明が長い場合は、ファシリテーターに遠慮なく止めて良い

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ここで僕がマイクロマネジメントするのは得策ではないと思い、各チームのファシリテーターをここは信じて、進行をお任せすることにしました。計算上、5分もあれば終わるはずです。4分が経過したところで「ロスタイム欲しいチームありますか?」と聞いてみたところ、どのチームも手を上げません。信じて正解だったなと、ホッとしました。

最後に、投票を行って、チームで一つアイデアを決定します。ファシリテーターには「投票開始」ボタンを押してもらい、メンバーに投票してもらう、という流れです。今回は8個の中から一つを選ぶことになるので、一人あたりの票数は2票としました。ちなみに、自分のアイデアに投票するのもOKです。

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その後、ファシリテーターに「結果発表」ボタンを押してもらいます。これは、カウントダウンを入れて押してもらうことにしました。

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ここで、見事一位のアイデアが決まります。実は発表の瞬間に、参加者の方々から「おおお〜〜〜」っていう声が聞こえてくることを、事前に勝手に予想していました。実際にはちょっと控えめではありましたが、それでもちゃんと声が聞こえてきたのは、素直に嬉しかったですね。

票が割れたチームが出てきた

ほとんどのチームは、これで一つのアイデアに決まりました。ただ、いくつかのチームでは複数のアイデアが同数で並んでしまう、という状況になってしまいました。

事前にこれは「そういったチームが出てくるかなぁ」と予想はしていて、「2分間あげるので、チームで一つ決めてください」と促すように考えていました。ところが現実には、それをやっても一つに決められないチームが複数出てきてしまったのです。

Design Sprint では、こういうときのために、デシジョンする人をあらかじめ決めておいて、その人が選択する、ということになっています。社長、とか、何とかマネージャー、とか、そういった肩書きの方がその役を担うことが多いのですが、今回はそんな人はいません。でも、一つに決めなければなりません。

僕からの指示は、こうでした。「じゃんけんをして、負けた人が一つ選んで決めてください。他の人は、その決定について文句は言わないこと」。これにより、無事に全チームが一つのアイデアを決めることができました。

個人的には、投票して、話し合って、それでも決まらないときは、誰かの独断で決めたとしても、そう不平不満は出ないんじゃないかなと思っています。そもそも、投票の結果でアイデアはある程度絞られていますので。

大事なのは「環境作り」

チームで一つアイデアを決めること、それを自然に促していくためには、やってみてやはり「環境作り」が大事なんだな、と実感しました。

おそらく、参加者の方々はかなり「考えすぎて疲れた」っていう状況になったんじゃないかなと思うんです。もしかしたらそこに「楽しさ」はあまりなかったかもしれません。だったとしても、「チームで一つ何か答えを見つけるための方法」の一つとして、皆さんがその経験を持ち帰って、今後同じような場面で思い出してくれると嬉しいな、と思っています。

プロトタイプ制作の準備

これで、全体の3分の1が終わりました。次は、プロトタイプ制作のフェーズです。

このフェーズでは、Stitch を使った経験がある参加者の方が各チームに一人以上いる、という保証がすでにできています。アイスブレイクの段階で、Stitch を使って自己紹介ページを作ってもらっていたからです。Stitch を使うことについては、もう僕が気にしなくても良い状況になっていました。

やることは、チームで一つ決めたアイデアを、具体的に Stitch にお願いして「見える化」してもらう。基本的には、それだけです。

しかし、実際にはそんなに簡単な話ではありません。最後の成果発表&投票を見据えて、プロトタイプ制作のフェーズで参加者にやってもらいたいことを、ちゃんと提示しなければなりません。

先に、成果発表&投票の話

ちょっとここで先に、成果発表と投票の話に進んでおきます。イベント運営側の方の一人から、「全チームにそれぞれ発表(デモを全員に見せる)するようにした方が良いのでは」という意見が出ていました。

普通であれば、そうしたいところです。しかし、これにはいくつかのリスクがあります。

  • 単純に、チーム数だけシーケンシャルに時間がかかり、90分内に終わらないことは確実
  • 参加者の PC をモニターにつないで…といった切り替え作業に時間がかかることも確実
  • 参加者の PC をモニターにつないでも映らない、という事態が起きるのは「あるある」すぎて、本当にそうなったら目も当てられない

こんなリスクを背負ってまで、全チームにそれぞれ発表させることはできません。大事なのは、「他チームがどんなアイデアを出して、どんなプロトタイプを作ったのか、それをちゃんと見ることができる」ということです。これを達成するためには、いろいろな解決策があるはずです。

そこで、僕が考えた案は以下のとおりです。

  • チームを3つのグループに分ける
  • 各チームのメンバーを「説明する役割 (1)」と「他のチームに行って投票する役割 (2)」の2つに分ける
  • まず、(2) の人が隣のチームに移動して、隣のチームの (1) から説明を受ける。良いアイデアだと思ったら、シールを貼って投票する
  • 上記が1周するまで繰り返す
  • 次に、(1) だった人が (2) となり、もう1周する

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これであれば、各チームは自分たちの机で、自分たちの PC を使って説明をすることができます。つまり、機材トラブルの可能性をまるごと排除できる、というわけです。

最初は「説明員は一人で、残念ながらその人たちは他のチームの成果を見られない」という案にしようかな、と考えていました。しかし、さすがに説明員になった人のデメリットが大きすぎます。役割を入れ替えて2周する形にしたのは、そういう経緯がありました。

ただ、機材トラブルのリスクを排除できたとしても、時間的な制約はかなり大きいままです。各チームに移動して、アイデアの説明を受けて投票する、この一連の動きを長くても1分ずつ、という短時間でのローテーションでないと、全体としてどうしても時間がかかりすぎてしまいます。

つまり、30秒で説明して、30秒で投票する。参加者の方々には、それをやってもらわないといけないわけです。プロトタイプが手元にあるだけの状態で、自分たちのアイデアを30秒で説明することを期待するのは、間違いなく絶望的です。

30秒に収めるための「エレベーターピッチ」

そこで、プロトタイプ制作の時間の中で、参加者の方々に「エレベーターピッチ」を考えてもらうことにしました。エレベーターに乗っているたかだか30秒程度の時間の中で、自身のアイデアを相手に伝えるための手段ですね。今回のミニアイデアソンにおいても、最適だと考えました。

参加者の方々には、こんな風に促しました。

最後の成果発表では、みんなが30秒でアイデアを説明できるようになっていないといけません。30秒しかないと思うかもしれませんが、30秒もあるんですよ。そのために、エレベーターピッチを皆さんに考えてもらいます。このテンプレに沿って、プロトタイプがある程度できたあとに、エレベーターピッチの文章を考えておいてください。チーム名が書かれている白紙に書き出しておくと良いかもしれません。説明の時には、そのエレベーターピッチを読むだけ、っていう状態にしておけば、アイデアを説明するのに30秒で十分だとわかるはずです。

エレベーターピッチのテンプレは、以下を提示しました。

[潜在的なニーズを満たしたり、抱えている課題を解決したり] したい
[ターゲットユーザー] 向けの、
[プロダクト名] というプロダクトは、
[プロダクトのカテゴリ] である。
これは [重要な利点、対価に見合う説得力のある理由] ができ、
[代替手段の最右翼] とは違って、
[差別化の決定的な特徴] が備わっている

「代替手段」と「差別化」については、今回の参加者にとっては少し難しいかなと思ったので、その2つはなくても良いですよ、と促しました。

プロトタイプを Stitch で作り、発表の準備としてエレベーターピッチを考えてもらう。この2つをお題目として、20分という時間の中でやっていただく、という形で指示を出しました。

20分間の様子

各チームの様子を見ていましたが、まずは Stitch にどう指示を出すべきか、メンバー内で話し合っている様子がすぐに現れてきました。そして後半になると、エレベーターピッチの作成に取りかかっているチームが多くなっていきました。

Stitch を使ったプロトタイプ制作によって、アイデアを迅速に形にできたこと。その結果として、「自分たちのアイデアがどういうものだったのか」を、プロトタイピングを通じて自分たちでも理解を深められたこと。これが、エレベーターピッチの各項目を埋められるようになった要因だったのかな、と見ていて思いました。

そして、これは驚きだったのですが、20分間で、ほぼ全てのチームがプロトタイプ制作とエレベーターピッチを完成させていました。5分程度のロスタイムを僕から提供することになるのかな、と予想していましたが、その必要はありませんでした。これは、自分の予想を超えて参加者の方々が頑張ってくれた結果だなと、素直に思っています。

いよいよ成果発表&投票

20分間が経過したところで、各チームには一旦手を止めてもらいます。プロトタイプが手元にあり、エレベーターピッチも揃っていることを確認して、いよいよ最後のフェーズ、成果発表と投票へと進みます。

このフェーズでは、とにかく残り時間との勝負です。各チームを順繰りに回ってもらい、エレベーターピッチを聞きながら投票をしてもらいます。あらかじめ全チームの机の上に、丸い小さなシールを配っておきましたので、それを手に持って各チームに訪問してもらう、という形にしました。

最初に机の上に置いておいた「チーム A」とか書いてある白い紙、ここにシールを貼ってもらうことで、投票したことにします。他チームのアイデアが良いと思ったら、そのチームに対してシールを1枚貼ります。ルールとして、一人が1チームに対して複数枚シールを貼ることは禁止としました。また、自分のチームに対して投票することも禁止です。

エレベーターピッチは30秒もあれば読み上げることができます。そして、投票するかどうかを判断して投票することも、30秒以内には可能でしょう。1チームあたり1分、5チームあるグループでは4回移動するので、一巡するのに4分間かかります。これを2周するので、全部で8分間で回りきれる計算でした。

しかし、やはり「30秒間でアイデアを説明する」ということは、参加者の方々にとって難易度の高いことだったようです。当然ながら、説明を聞けば質問もしたくなります。僕が1分ごとに「次のチームに移動してくださーい!」と促しても、なかなか進まないこともありました。結果として、全て回りきるまでに、3分近く想定よりも多く時間がかかってしまいました。

とはいえ、ここまで来れば、結果は全て出ています。あとは、紙を回収して、投票数を集計し、各グループで最も多く投票を集めたチームを決めるだけです。心の中で「なんとかやりきったぞ〜」と、ホッとした瞬間でした。

集計と表彰

紙を集めて集計をする作業については、イベント運営スタッフの方々数名に協力を求めました。3グループあるので、表彰対象は3チームになる想定でしたが、投票数が同数のグループが出たことで、結果として4チームが表彰されることになりました。ここまでは「あり得るかなぁ」と思っていたところです。

しかし、なんと表彰対象のチームのうち2チームが、4名構成ではなく、5名と6名のチームだったのです。

準備されていた景品のマグカップの個数は20個、表彰対象の人数は19名。ギリギリでした。

表彰の前に

ここまでずっと、僕がファシリテーションを行ってきました。なので、参加者の方々の中には、僕のことを嫌いになった人がいても、おかしくはありません。僕の言動や進め方を、時には「強引だな」と思った方もいたことでしょう。そのため、表彰の際に景品を渡すプレゼンテーターは、僕ではなく、パネルディスカッションに登壇された方々にお願いしました。

表彰の直前に、実は僕からはこんなことを伝えました。

本当は表彰などしたくありません。序列をつけることには、あまり意味がないと思っているからです。皆さんのアイデアは、どれも素晴らしいはずです。しかし、今回参加された皆さんが投票した結果は、それはそれで意味があると思っています。

まとめ

こうして、表彰式も無事に終わり、ミニアイデアソンは幕を閉じました。以上が、今回行ったミニアイデアソンの全貌です。

後から聞いた話では、「AI を使って自然言語でアイデアを形にできることへの驚き」を、参加者の方々から聞くことができたそうです。ファシリテーションを行った僕自身も、そのことには驚いています。数年前であれば、「たった90分間では絶対に実施できなかったこと」だったはずです。

また、「限られた短時間で何かを伝えることの難しさ」を、参加者全員が痛感したとも思っています。チームビルディングの重要さ、チームでアイデアをまとめる手法、AI を使ったプロトタイピングの実践、そして短時間でアイデアを誰かに伝えるための難しさ。それらを今回体験できた参加者全員が、今後の大学生活に何らか良い影響が出てくれることを、期待して止みません。

「もし同じようなアイデアソンを自分たちもやってみたい!」と思った方は、ぜひ声をかけてください。僕がファシリテーションできるかもしれませんし、今回やったことをより詳しく伝授できるかもしれません。気軽に声をかけていただければと思っています。

なお、本エントリで紹介した Note and Vote アプリは、どなたでもご自由にお使いいただけます。アイデアソンに限らず、複数人でアイデアを集めて選びたい場面があれば、ぜひ活用していただけると嬉しいです。

また、当日のミニアイデアソンで使ったスライドは、こちらに公開してあります。具体的な進行のイメージや実際に参加者の方々にお見せしたコンテンツを確認したい方は、合わせてご覧いただけると嬉しいです。