聖なる夜にソフトウェア開発を料理に見る

昨日のクリスマスイブの日は,やはり「ものづくり」をしていた。しかし,いつものプログラムや文章ではなく,料理である。 作ったものは3つ。

  • ピラフ

  • ポトフ

  • ケーキ ポトフは何となく「コンソメ入れて煮込めばいい」と想像できていたが,他の2品は完全に初体験。どうしていいかわからない。 優秀な先生の指導の元,3品をほぼ同時に作業開始。ケーキはしっかりとスポンジから焼くことにしていたので,まずは卵をクリーム状になるまで撹拌しないといけない。レシピはどっかのHPを印刷してあるが,全行程を頭に入れていないため,言われるがままの状態。 ハンドミキサーを使ってひたすら混ぜる俺。隣で牛乳や砂糖などを計量して,次の工程の準備をしている彼女。ここでふと思う。 「いつもと逆だ・・・」 ここ数年は,ほぼ全て自分で考えた開発プロセスやアーキテクチャに従って他の人間が実際に手を動かす,という日々だった。常に次のことを考えていたし,何か起きても何とか対処できるだろうという気持ちもある。 しかし,今日は全く正反対。こんなにも次が見えないことが不安だなんて。。。 ハンドミキサーの先の方しか使えずになかなか撹拌が進まない俺を見て,効率の良いやり方を示してくれる彼女。「きっとじれったくなったんだろうなぁ」なんて思いながらも,その効果の大きさを感じて「おぉぉ,なるほど」と納得する俺。 鉄板に流し込んでオーブンで焼き上がったスポンジを見て,さっきまで単なる生卵だったのが,ふっくらとした,いかにもおいしそうに変身したのを見て,すごくワクワクする。コンパイルと一緒だ。うまく変換された結果を見ることは,この上ない達成感をくれる。 しかし,ここで彼女が一言。 「ココアを入れるのを忘れちゃった」 なんと,手順を一つすっとばしてしまった。ココアベースの木をイメージしたケーキにするつもりだったのだが,できあがったのはショートケーキにぴったりのスポンジ。 ソフトウェア開発の場合は,作ってみないとわからないことが次々と出てくる。その度にリファクタリングを行うことで,継続的に質を高めていく。しかし,目の前にあるスポンジをリファクタリングすることは不可能。どうしてもスポンジを茶色にするためには,作り直さなければならない。 そう,ソフトウェア開発は「リファクタリング可能」という素晴らしいものであり,そして非常に特殊なもの。普通のものづくりは,やり直しがきかないシビアな世界なんだと,当たり前のことに気がついた。 ポトフやピラフは,そのおいしさとは裏腹に,レシピは非常に簡単。どっちもコンソメベースだということに後で気がついてしまったこと以外は,大成功を収める。

200612241821000.jpg ケーキの方はというと,横たわった丸太の上に切り株が乗っている,という完成イメージを目指していたのだが,出来上がりは「山頂」になってしまった。

200612241744000.jpg 料理は簡単そうで,すごく難しい。でも,いろいろな変換作業や,開発プロセスをこなしていくときの気持ち,そして失敗したときにどうリカバリをするかを考えることは,その難しさ以上に楽しい。ソフトウェア開発も本当はすごく楽しいはずなのに,最近ではその楽しさを忘れている気がする。ものづくりとはすごい刺激的なことなんだ,と思い出させてくれた一日だった。 しかし,最も刺激的だったのは,3品をおいしくいただいた瞬間だったことは言うまでもない。

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