内村航平選手はまた一つ階段を上がってしまった
内村航平選手が今回の五輪で学んでしまったことはただ一つ、
「かけひき」
だと思います。
今までのうっちーの演技は、とにかく自分の持っている技を思い切って出して、でもその成功率を元々高めているので結果として素晴らしい実施になる、というある意味「一発勝負」な演技でした。つまり、彼の今までの「普段通り」という言葉は、楽しんでいるという前向きな言葉の反面、失敗するとそのダメージも大きい、ってことだったのではないかと。
もっとシンプルに言うと、安全策、っていう言葉はなかったのかな、ってこと。
特に個人総合になると、平均して「ある程度高い」結果を出さなくちゃいけなくて、とにかく大きな失敗は命取りになります。そういった点で、うっちーの今回の個人総合は、種目によっては安全策をちゃんと取ってきた、ちゃんと「かけひき」ができた試合だったんです。
これは、実は結果にもちゃんと反映されています。2位だったドイツの選手との点差は、1.6589。これは大きな差です。うっちーは全種目15点以上を並べましたが、ドイツの選手は鞍馬が極端に低い点数で、それ以外は15点中盤の点数を揃えてきているんです。鞍馬を除いた5種目の合計では、
77.624(うっちー) - 77.365(ドイツ) = 0.259
しか点差がなかった。うっちーの鞍馬は15.066なので、つまり以下のどれかが起きていれば、メダルの色は変わっていました。
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ドイツの選手が15.325以上を鞍馬で出した。
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ドイツの選手が鞍馬で15点以上を出して、うっちーが鉄棒もしくは鞍馬で団体予選と同じような失敗をした(鞍馬12.466!とか)。
ドイツの選手は、想像ですが、今までのうっちーと同じ戦い方、つまりかなり自分の持ってる演技構成としてギリギリの線でやってたと思うんです。その結果、種目によって出来が揃わず(種目によって点差が大きい)、金メダルを逃した。その日のドイツの選手の出来であれば、うっちーが従来通り攻めていた場合、きっと点数がドイツの選手以上に種目によってばらついてしまい、金メダルは逃していたかもしれません。
うっちーは安全策をとってきた。団体予選、決勝と演技をしていくなかで、器具が合わずにしかもアウェイで特殊な五輪会場という場で、しっかりと試合感を学んできてたのではないでしょうか。本人も言ってますが、勝つための試合、これを実践したんですね。
本人にとっては「楽しむこと」「自分の持ってる最高の演技構成を出し切ること」を犠牲にしてまで、勝つことを選んだということが、点数差にも出たのかなー、と、Resultを見て思いました。
どこまで強くなるんでしょうか。。。
■内村、笑顔のフィニッシュ=難度差で金は逃す―体操〔五輪・ハイライト〕 (時事通信社 - 08月05日 23:10)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2108710&media_id=4