「エンジニアチームの生産性の高め方」という書籍が出版されました

2024年10月26日に「エンジニアチームの生産性の高め方」という書籍が出版されました。7名による共著であり、僕もその中の一人として第1章の執筆を担当しました。

エンジニアチームの生産性の高め方 - Amazon

他の著者の方々が著名な方々ばかりなので、この中に僕も入れたことを嬉しく思っています。

表紙がちょっとおかしい?

この本の表紙、「あれ?ミスってる?」って思った方は比較的多いんじゃないかと思います。

「矢印が文字の手前に来ちゃってますよー!」 「文字にかぶっちゃってますよー!」 「『の』とか半分かぶっちゃってますよー!」

って思いますよね?はい、僕も最初見たときにそう思って、「ミスっちゃってますよ!」って出版社の編集担当者に言いました。

実はこれ、わざとです。

「あれ?」って思わせることでこの本の存在をまずは認識してもらい、そしてタイトルを読んでもらって、「お、面白そうじゃん」と手に取ってもらう、っていうストーリーを想定しています。

二部構成の書籍です

この本は、第1部と第2部の二部構成です。それぞれテーマが異なります。

第1部は「開発プロセスと生産性」というテーマです。開発プロセス、つまりプロダクトを開発する「手法や手順」について着目しています。

第2部は「開発チームと生産性」というテーマです。ここではプロダクトを開発する「チーム」や「人」についてがメイントピックです。

もちろんそんなキレイにスパッと分けることはできないので、お互いにちょっとずつ混じっています。ただ、基本的にそれぞれの部は独立しているので、読み手が気になる部や章のみを読んでも大丈夫です。

書いてあることと書いてないこと

開発プロセスや開発チームについて書いている本ですよ!と聞くと、それはそれは重厚かつ聞いたことがある有名な手法や組織論などを思い浮かべるかもしれません。

ですが!それを期待してこの本を読んでしまうと、残念ながら期待した内容を知ることはできない可能性が非常に高いです。

では、この本には何が書いてあるのかというと、それぞれの「著者自身の経験と専門性」をもとに導き出した生産性を向上させるための「実践的な自説」です。

簡単に表現するならば、

「僕らはこうやっていますので、皆さんも参考にしてみては ?」

という著者からの提案が書かれています。

どんなことやってても役立つことが書いてあります

皆さんは、それぞれの開発の場において、何らかの具体的な開発プロセスを適用し、いろいろな方法論から導き出した具体的な組織論で開発チームを構成していると思います。この本には、どんな開発プロセスや開発チームであったとしても、汎用的に適用できる、部分的に適用できる、または現行の開発プロセスや開発チームを改善するために参考になる事項が、ふんだんに盛り込まれています。

章のタイトルを見てわかるとおり、どれも「世界で唯一の銀の弾丸」がないものばかりなんです。でも、それぞれの著者が苦悩しながら「より良いものとは何か」を求めて改善に改善を重ねていった結果到達したこと、そしてその過程がこの本には語られています。

「なるほど、こんな方法があったのかー」と新発見があるかもしれません。「これは自分の開発チームには合わないなぁ」と思う記載もあるかもしれません。そのような感想を持つことは当然です。著者の経験と専門性をもとに導き出された実践的な「自説」が書かれているから、です。

どんな人がどんなこと書いたの?

ということは、各章を読むときには「どんな人が書いたのか?」を知っていた方が、より書かれていることの理解が進む、ということになります。章のタイトルと担当執筆者の紹介をここで簡単に紹介します。

Product Requirements Document

Tably株式会社 CTO。Google Developers Expert(Web Technology担当)。

Design Doc

LINEヤフー株式会社所属。著書に『読みやすいコードのガイドライン -持続可能なソフトウェア開発のために』(技術評論社)。

リリース・ブランチ戦略

合同会社桜文舎 代表社員。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。Sun Microsystems、Sony、Google、Apple、LINEなどを経て、メルカリにて執行役員としてCTO Marketplace、Group CTOを歴任。現在は数社の技術顧問を務める。

リアーキテクトにおけるテスト戦略

LINEヤフー株式会社所属。2020年より株式会社出前館へ出向。博士(ソフトウェア工学)。

実践エンジニア組織づくり

エン・ジャパン株式会社 VPoE。ソフトウェアエンジニア。

エンジニアリングイネーブルメント

株式会社ナレッジワーク CTO。東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻修士課程修了。日本IBM東京基礎研究所やGoogleなどを経て株式会社ナレッジワークを共同創業。CTO of the year 2022ファイナリスト。

開発基盤の改善と開発生産性の向上

LINEヤフー株式会社所属。主にiOS版LINEの基盤・ビルドシステム開発のほか、モバイル開発体験の向上に日夜取り組んでいる。著書に『cocos2d-xではじめるスマートフォンゲーム開発』(技術評論社)。

いかがでしょうか?

ぜひ読んでみてください

具体的な開発プロセスの方法論や開発チームの組織論について書かれた書籍はかなりの数があります。しかし、本書のようなアプローチで書かれた書籍は珍しい、いや、ほとんどないんじゃないかと思っています。

それだけに、多くの方々が実際に読んで参考にしてより良い開発にしていく、読んだ人全員が「開発生産性を向上させる」ことができる、そんな内容が書かれていると自信を持ってオススメできる書籍に仕上がっています。

騙された!と思って読んでみてください。そして、読んでみた感想をソーシャルメディアなどで教えていただけると嬉しく思います。

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