本質的じゃないのにウケる機能がある

ITシステム,特にWebアプリケーションの領域では,そのユーザにとって「これは役立つ!」と思う機能はさまざまだ。そして,開発する側と使う側で,便利に思う機能にすんごい差がある。

どうしても僕は開発者だから,開発する側の視点で機能を考えてしまいがちだ。

例えば僕は,どうせシステムを作るんだったら,そのシステムだけでやりたいこと全てができるべきだと思っている。情報のエントリから検索,帳票出力にいたるまで,使う人が行いたいこと全てがそこにある状態が理想だと考えている。

だから,データベース内の情報をCSVファイル出力という機能で取り出せるようにすることに対して,ちょっとだけど不満を覚える。なんか,システムが,使う側の要求に負けたような気がしてしまうのだ。開発者からしたら,CSV出力機能は言わば「逃げ」になると思う。「情報だけあげるから,あとは好きにして」ってことだからだ。

しかし,使う側がCSV出力機能が搭載されることに対して,不満に思うことはまずありえない。それどころか,数多く搭載されているシステムのさまざまな機能の中で,一番喜ばれることも多々ある。どんだけ頑張って分析機能や検索機能を作りこんでも,たかがCSV出力機能に負けてしまうことだってある。

これってどんな差からくるんだろう,とちょっと考えてみると,視点というか視野が違うのかな,と思う。開発者の視野は「システム」であり,使う側の視野は「パソコン」なのだ。使う側にとって,ベンダーに作ってもらったWebアプリケーションも,パソコンにインストールされているMicrosoft Excelも,全部ひっくるめてシステムであり道具なんだな,きっと。Excelでできる機能はExcelでやればよくて,Excelが持つ機能をWebアプリケーションにいくら作りこんでも,それは単なるオーバースペックでしかない。

万人がExcel’erなわけではないので,全てに当てはまる話ではないが,「ユーザがやりたいことを最適な方法で」と考えて設計を行う場合,「最適な機能を提供してあげる」のではなく,「最適な機能をもっと使いやすくするために補佐してあげる」ことも必要なんだと思い始めた。ユーザがExcelを使うことが最適と考えるならば,Excel上で分析を開始しやすいように,CSVファイルではなくxlsファイルを直接吐いて余計な手間を省いてあげる,という機能も喜ばれると思うし,現に喜ばれた。

ユーザに向いて設計をする,これはなかなか難しいけど大事なことだな,と思った今日この頃である。

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