改ざんできないシステムなんて少数派

建築業界の設計偽装問題。今テレビを見ていたら,「改ざんをできてしまうソフトウェアになっていた」なんてことを言っていた。お役所と検査会社は,ソフトウェアの処理結果に対する編集ができてしまうことに驚愕し,みんな「まじっすか」っていう雰囲気になった,と言っていた。しかも,ソフトハウスの企業名すら堂々と出して,「改ざん可能なシステムを作ったのは,ここだよ」と,全国ネットで言っている。

おぃおぃ,ソフトハウスは少なくとも依頼主の言うとおりに作っただけなはずだぞ。それを,あたかも「ソフトハウスのソフトウェアが悪い」と取れるような発言してるなんて,おかしいだろーが。

IT業界にいる優秀な設計者であれば,改ざん,というか,処理結果を編集できないようにすることを,真っ先に考えるはずだ。普通の業務であれば,編集する必要がないだろうと思うからだ。しかし,ほとんどの場合,「○○という場合もあるから,編集できないのは困る」と例外的な業務を理由に,編集可能なように作りこんでくれ,と依頼主から言われる。それを受けて「うーん,改ざんできちゃうよなぁ」と思っても,顧客の業務が滞ってしまうのならシステム化の意味がないと考え,設計者はソフトウェアの処理結果に柔軟性を持たせるだろう。その設計者に,悪意は全くない。

ソフトウェアを使うのは,依頼主である。使い方も自由だ。作り手は,もちろん業務を良く理解し,その合理化すら提案するだろうが,結局はそれも提案に過ぎないし,ソフトウェアは単なる道具。顧客がソフトウェアを悪用使用することについて,開発したソフトハウスは関係ない。

まぁ,ソフトウェアの機能不足があったとすれば,編集できるのは出力したものではなくデータベース内の情報として,しかも「誰がいつ編集したか」を残せるようにすれば良かったのかも知れない。でも,ただでさえソフトウェアの価値が正しく判断されない現状で,そのような機能をソフトハウスが提案したとしても,却下される可能性は高い。

ソフトウェアは道具であり,業務の効率化,そして業務の適正化を考えるのは,というか最終的に判断するのは,依頼元である。だからこそ,依頼主が行う受け入れ検査とか検収作業があるのだ。それを棚に上げて「○○社が作ったソフトウェアが△△になっていたから・・・」って言うなんて,話にならない。

「もしかして,改ざんしようとしてないですか?」なんて,僕らは言えない。けれど,問題をソフトウェアだと言う輩が現れてしまう今,「悪用しようとしてますか?」と僕らが顧客に言わないといけない時代が来てしまったのだろうか。。。

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