思ってることってこんなもんだよ
僕が作ったChromeアプリを会ったこともないイギリスの開発者に移管した話

昨年末に、OneDriveとWevDAVのChromeOS向けFile System Provider実装のメンテナンスをやめますというエントリをポストしました。これは、過去に5つ作ったChromeアプリのうち2つをもうメンテナンスせずに、Chromeウェブストアからも非公開にする、つまりオワコンにしますよっていう宣言でした。ただ、OneDrive向けのChromeアプリに関しては、実はオワコンにはなっていません。現在もChromeウェブストアにて公開されています。

chrome_app_owner_transfer_1.png

File System for OneDrive

Chromeウェブストアの表示内容をよーく見てみると、提供者は僕の名前ではありません。そう、実は僕はOneDrive向けの実装を、他の開発者に移管したのです。

本当に数えるほどですが、今までも何回か「こんな修正をしてみたから取り込んでよ」っていう依頼が来ることがありました。その度に取り込んでいたのですが、OneDrive向けの実装に対して、2017年の冬にメールが来て「OneDrive Businessでも対応できるように修正してみたから、差分確認してくれる?」って依頼が来ていて、「あ、見てみるね」って返事をしたっきり、確認もせずに放置していました。この姿勢は今思うと最悪だったのですが、何せOneDrive向けの実装は評判が悪く(アクセストークンが1時間で切れる問題)、すっかりやる気をなくしていました。オワコンにしちゃおう、と思ったくらいに。

移管の提案

で、そのコンタクトを取ってきてくれた人に何の相談もせず、昨年末にOneDrive向け実装のChromeウェブストアでの掲載を僕は取り下げました。すると、すぐにその彼(名前はMichaelです)からメールが再び来ました。

Hey buddy,

Are you still out there?

It’s been noted that your version of Filesystem for Onedrive is now absent from the chrome store.

Have you given up on it now? I did notice you made a few commits at the beginning of the year, anything I should incorporate?

まあ、はい、そりゃ、「どうなってんだよおい」って言いますよねー。で、ここでやっと僕は彼が「本気」だったことに気がつきます。少なくとも、確認して欲しいと言ってきた差分を見る限り、OneDrive APIについて僕よりも詳しそうです。

「これはもう彼にOneDrive向けの実装をあげちゃった方が良いのでは?」

と思い、メールの返事を書きました。

Hi Michael,

First, I really would like to say that thank you for that you have an interest for the FSP OneDrive app and the implementation. And, I’m sorry for a long delay of the response from me.

As you have already noticed, a publication of the FSP OneDrive app has already been stopped (at the same time, the FSP WebDAV app has also been stopped). That is, I turned it off from the Chrome Developer Dashboard on the end of last year. Since before a few months, I was thinking of stopped a maintenance of the app. The reasons are described on my blog entry (see the following URL). I intend to concentrate maintenances for three apps: Dropbox, SFTP and SMB.

https://www.eisbahn.jp/yoichiro/2018/01/stop_two_fsps.html

As the result, I could not merge and release your code. Sorry.

BTW, the app has already been dropped from the Chrome WebStore, but all source codes are still hosted on my repository of the GitHub:

https://github.com/yoichiro/chromeos-filesystem-onedrive

The UI was broken, because the Polymer 0.5.4 cannot be worked from Chrome 63. But, I have already repaird the problem by using a Bootstrap instead of the Polymer. The diffs was already committed and merged to the master branch.

Well, I would like to propose that I transfer the ownership of the repository of the OneDrive app to you, if you are interested in that. Over 50 thousands users was using the app. I have already decided to stop the maintenance, however, if you maintain the app, many users will be happy, I guess.

How about above?

中盤までの文はどうでもよく、最後の提案が大事。OneDrive向けアプリのオーナーシップを移管するから、メンテナンスしてみない?と誘ってみました。

すると、早速Michaelから返事が来ます。

Yes that would be fine and I really appreciate your latest commit.

Let me know what I need to do to assume control of the github source.

お、引き受けてくれるっぽいです。やったー。

移管するためにやること

すでにWeeklyで5万人以上のユーザが利用しているChromeアプリなので、ソースコードだけでなく、そのユーザ達もMichaelに移管できると良さそうです。そうなると、やることは2つです。

  • GitHubのリポジトリについて、Transfer Ownershipする。
  • ChromeウェブストアへのChromeアプリ登録について、Transfer Ownershipする。

GitHubリポジトリの所有権変更

一つ目のGitHubリポジトリの移管については、ボタンをポチッとするだけです。Danger ZoneのTransfer Ownershipから、MichaelのGitHubユーザ名入れて、移管完了。簡単です。

chrome_app_owner_transfer_2.png

Chromeアプリ登録の所有権変更

次のChromeアプリの登録を僕名義ではなくてMichael名義に変更する手続きを行います。これがすごく時間がかかった!Chrome Developer Dashboardでは、所有権を移管するために、以下のフォームから申請します。

Chrome Web Store account transfer request

基本的には7日間以内で返事が来るはずが、7日間を過ぎても返事が来ず。別のサポート窓口から「どうなってるの?」と送ったところ、どうやら放置されてたっぽい。そのサポートの人が社内で回してくれて、移管プロセスが進み、無事MichaelにChromeアプリの所有権が移りました。

現在はバージョンアップ&公開継続中

無事Michaelの手に渡ったOneDrive向け実装ですが、すでに彼が作った差分も入って、1回バージョンアップされた状態でChromeウェブストアに引き続き公開中です。移管したので、Chromeアプリの再登録にはならず、既存のユーザ達も特に何もすることなく、Michaelが作った新しいバージョンが行き渡っているはずです。

ちなみに、最近はChrome拡張機能を買い取ったりして、そこに広告や「怪しいコード」を入れて再配布し、多くのユーザに迷惑を与える、っていうことが流行っています。今回その一端を僕が担ってしまわないように、「Michaelって誰?」っていうのを少しだけ調査してみましたが、どうやらイギリスのORACLE支社の社員のようでした。

所有権が全て彼の手に渡った後に、

Muwhahahahahahaha

(That’s my Dr evil laugh)

というおちゃめ?なメールをくれたMichaelを応援していきたいと思っています。

コードを書いていると、いろいろなことが予期せぬとも起きます。面白いなー、と思ってこのエントリにまとめてみました。