Lunakey Mini/Pico/Macroの設計をオープンにしました

今まで Lunakey Mini を遊舎工房、Kochi Keyboard、そして BOOTH にて販売してきました。興味を持ってくれた人が Lunakey Mini を入手するための手段としては、今まで「これら3つのお店から買う」しかなかったのですが、このほど Lunakey シリーズ(Mini、Pico、Macro)の設計をオープンにしてみました。

yoichiro/lunakey: Lunakey - This is a brand for keyboards designed by Yoichiro Tanaka.

何がオープンになったのか

オープンにしたのは、基板(PCB)と、プレートです。

基板については、KiCAD というアプリケーションを使って作図していたので、KiCAD 向けのファイルです。

プレートについては、Inkscape というアプリケーションを使って描いていたので、SVG ファイルです。

基板とプレート以外に必要な部品を README に書いておいたので、

  • KiCAD プロジェクトファイルから Gerber ファイルを作って、基板制作業者に発注して基板をゲットする。
  • アクリル板加工業者にプレートの設計ファイルを送って、トッププレート、ボトムプレート、カバープレートをゲットする。
  • 遊舎工房やKochi Keyboard, TALP Keyboard といった自作キーボードキット店にて、必要な部品を購入する。

をご自身で行えば、Lunakey Mini や Lunakey Pico、Lunakey Macro を組み立てることが可能です。業者を選べば、全体の費用を抑えることもできる、かもしれません。

なぜ設計をオープンにしたのか

Lunakey シリーズの設計をオープンにした理由は、いくつかあります。

まず、Lunakey Mini を設計する際に、同じく設計をオープンにしているキーボードがとても参考になりました。そういった先人たちが設計ノウハウをオープンにしてきたからこそ、現状の自作キーボードの盛り上がりがあると思っています。そういった先人たちに恩返しができるとするならば、同じように僕が行ってきたことをオープンにして、さらに盛り上がりをブーストさせることかな、と考えています。

次に、Lunakey シリーズを使ってくれているユーザの方々向けの理由があります。現在販売させていただいている Lunakey Mini は、組み立て済みモデルでなければ、自分で部品の取り付けをしなければなりません。はんだ付け作業は簡単ではなく、取り付けたのにうまく動作しない、といったことが起き得ます。トラブル時の原因究明の際に、回路図や基板の設計図があれば、原因と解決策を考えやすくなります。

そして、基板設計よりも、プレートの設計をオープンにしたほうが、実は嬉しい人が多いのかな、と想像しています。Lunakey Mini では、アクリル板を加工したトッププレートやボトムプレートなどを同梱させていただいていますが、アクリル板でのサンドウィッチ構造ではなく、3D プリンタを使ったケースや、もっとすごい人はアルミケースを作ったりしている方々もいらっしゃいます。そこまでいかなくても、透明なアクリル板ではなく、別の色のプレートを使いたい、と考える方々も多いかもしれません。

プレートの設計があれば、そこからケースを作ったりする幅が大きく広がります。パームレストを作る際にも参考になるでしょう。そういった自由もユーザの方々に提供したかった、というのも、大きな理由です。

次の理由としては、僕のつたない設計だとしても、それが他のキーボード開発者に何らか良い影響を与えられたらな、ということがあります。僕も設計を最初に行い始めたときには、「本当にこれであってるのか?」と不安だらけでした。でも、安定稼働しているキーボードの設計をみて「あ、こうすればいいんだ」と自信を持てれば、前に進むことができます。そういった点でも、設計をオープンにすることでその価値をちょっとでも受け取る人がいればいいな、と思って、オープンにしました。

最後に、海外の方々にも Lunakey Mini を使ってほしいな、というのがあります。キット販売はちょっと大変ですが、設計をオープンにすれば、部品を集めて作ってくれる人も出てくるかな、という期待があります。また、僕の許諾が必要ですが、海外でも Lunakey シリーズを提供してくれる人が出現してくれると嬉しいな、という淡い期待もあります。

適用したライセンス

設計をオープンにする際に最も大事なことは、ライセンスです。どのようなライセンスで公開するかは、オープンにしたものをどうしていきたいかがはっきりと表現されます。逆に、「なんとなくこれでいっか」とよく考えずにライセンスを決めてしまうと、予期せぬ事態にもなりかねません。

今回採用したライセンスは、「Lunakey Licene」です。「そんなライセンス、聞いたことないよ」と思ったことでしょう。当たり前ですね、今回新しく考えたライセンスですので。

ライセンスを考える際の今回のポイントは、以下でした。

  • 部品を集めて個人的に Luankey シリーズのキーボードを組み立て、利用することができること。
  • 僕の設計を参考にした新しいキーボードが生まれて欲しい。ただ、その際には僕の設計を参考にしたことが記録として残って欲しい。
  • 僕の知らないところで勝手に販売されて、結果何らかのトラブルが起きてしまうのは避けたい。

これらを総合的に考えて、たどり着いた結論が「デュアルライセンス」です。今回は「商用利用したい人向けのライセンス」と「個人利用したい人向けのライセンス」で分けました。商用利用したい人は、僕の許可が必要です。個人利用したい人は、Creative Commons BY-NC-SA 4.0 を適用することにしました。

商用利用に許諾が必要、というところがモヤモヤするかもしれませんが、「何がなんでも収益が欲しい」ってことではなくて、一言だけでも欲しいな、程度です。おそらくほとんどの場合で「はい、いいですよ」と答えると思っています。

まとめ

Lunakey Mini の設計当初から「いつかは設計をオープンに」と考えていたのですが、なにせハードウェア系はさっぱりわからなかったので、ここまで来るのに1年かかってしまいました。

このオープン化が少しでも誰かの利益になることを期待しています。

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