懐かしさたっぷりの「ファミコンの驚きべき発想力」

昨日書店に行き、「これ面白そうじゃない?」と嫁が見つけた書籍がありました。そのまま購入してさっき読み終えた、僕にとって短時間で一気に最後まで読み込めた珍しい本、それは「ファミコンの驚きべき発想力」です。

ファミコンの驚くべき発想力 -限界を突破する技術に学べ- (PCポケットカルチャー)

現状の富豪プログラミングの真逆であるファミコンの貧弱な環境の説明から入るのですが、その貧弱さがゲームデザインにどう有利に働いていたか、がこの本の中心的なポイントとなります。価格を2万円以下に抑えながら如何に必要な機能を搭載するか、これはとても難しい問題です。

乗算除算や浮動小数点演算機能はCPUから潔く削除されていますが、これはプログラミングの工夫で十分カバーできます。グラフィックスについては、スプライトとBGというキャラクタの描画に向いている機構の提供と、グラフィックスを専門に担当するチップの存在、そしてCPUとPPUとのVBLANKタイミングによる連携がゲーム開発に十分な機能を提供しています。そして、利用可能な色を「バイト数の削減」という観点ではなく「デザイナによってゲームにどの色を提供すべきか」という観点で選択されている点は、ファミコンを絶対に成功させてやる!という意気込みが伝わってきます。

それ以外にも、最低限のレジスタを如何に使いこなすか、数多くのゲームマップをどのように最低限の容量で提供するか、そのテクニックがこの本に掲載されています。僕はPC8801MHをかなり使い込んでいましたが、その当時に駆使していたテクニックとほとんど同じものです。おっさんには、懐かしさ満載な内容です。

ただし「昔はそうだったかもしれないけど、今は潤沢なコンピュータリソースがあるんだし」とこの本の内容を軽視すべきではありません。

確かにMicrosoft Officeなどのインストール型デスクトップアプリケーションであれば、富豪プログラミングでも構いません。ユーザ数が限定されている企業システムにおいても、優先すべき開発手法はこの本のものと比較して別のものになるでしょう。それらに対して、多くのユーザ数を抱えるWebサービスで必要となるサーバ側のプログラミングや、限定されたリソース内で開発を行わなければならない携帯デバイスでのアプリ開発では、テクニックの細かな違いはあれど、この本で書かれている本質は何も変わりません。むしろ、もっと制限はきついかもしれないのです。多量のリクエストに対して如何に速くレスポンスを返すか、スマートフォン上の少ないリソースで如何にリッチなUIを提供するか、そこにはプログラマが工夫すべき余地が十分に存在し、腕が試されるのです。そして、今から比べると極端な制限下において当時のプログラマがどのような工夫をし、どのように人々の心を掴むゲームを開発していたか、この本は教えてくれます。

著者は「ファミコン時代のテクニックにとらわれず、現在の環境に合った発想を」と求めています。ゲーム開発者においてはその通りですね。それだけでなく、Webサービス開発者やスマートフォンアプリ開発者の方々に向けても、本書から学ぶべき点はとても多いことを、本エントリにて伝えたいと思います。

出版されてからすでに時間が経っていますが、この本はオススメです。ぜひ読んでみてください。

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