パームレストを自作してみた(Claw44編)

前回はErgoDash向けのパームレストを自作した話を書きました。

パームレストを自作してみた(ErgoDash編)

ErgoDashの組み立てとパームレストの自作を終えたあと、しばらくはErgoDashを使っていたのですが、キー数が多く、タッチタイピングが上達するに従って、使わないキーがめっちゃ出てきた上に、キーがそこにあるがゆえにご打鍵する回数がどんどん多くなってきて、結構なストレスになってきてしまいました。そのエピソードは、以下にて紹介していますので、興味あればお読みください。

ErgoDashを使い始めて1週間後の現状と感想

メインで普段使うキーボードとして、40%キーボードが欲しくなり、いろいろ悩んだ結果、Claw44を作ることにしました。このエントリも、Claw44で書いています。ビルドログは、以下からご覧になってください。

Claw44 Build Log 1

さて、めでたく作り終えたClaw44ですが、ErgoDashから乗り換えて使い始めた際に、パームレストはErgoDash向けに作ったものをまずはそのまま使ってみました。

使えないことはなかったのですが、以下のような不満点が出てきてしまいました。

  1. そもそも、ErgoDashとの組み合わせで使っていたときにも、パームレストになんの傾斜もないため、手のひらにパームレストの手前の角が刺さっている状態になってしまい、使い心地としてはイマイチな感じだった。

  2. ErgoDash向けにうまくハマるようにと切り落とした形状が、もちろんClaw44とでは合わず、見た目にもイマイチになっていた。

これらの懸念点を打破するために、再度Claw44向けにパームレストを自作することを決意しました。って書きましたが、Claw44を購入した時には、すでにパームレストもセットで作ろうと思っていたのがホントのところです。

Claw44向けにパームレストを作ってみた

ということで、Claw44向けのパームレストの自作にチャレンジしてみました。木材は、ErgoDash向けのパームレストを自作した際に購入したSPF材の余りを使います。

Claw44のプレートの寸法を計測することからはじめましたが、Claw44は図面などの設計情報は公開されていないため、一旦キーボードからボトムプレートを取り外して、紙にその形状をなぞって書き、それを定規で測る、ということを行いました。

ErgoDashはプレートの形状が角ばっていたので単純だったのですが、Claw44は曲線で構成されています。ヤスリで何とかその曲線を木材で再現する手もあるのですが、今回はそこまでせず、三角形的な形状に切り落とす感じで設計してみました。

さっそく、木材を図面通りに切り出してみました。正確さは全く無いですが、まあ大体あってればいいかな、と。

曲線にきれいにピッタリあってる、って感じにはなってないですが、まあそこは最初から諦めていますので、想定通りです。

ErgoDashのときは、ここからヤスリがけを始めたのですが、今回は違います。手のひらの部分について、傾斜を作ってみようと思います。具体的には、板の下半分について、1cmの傾斜を作るために、削り落とします。

削り落とすための手段として、最初はいとノコギリを使って切り落とそうかな、と思っていました。でも、板の厚みの半分ほどを糸ノコギリで切っていくのは、結構難しく、きれいに仕上がらないんじゃないか、という懸念があります。

そこで、僕の父に相談したところ、「カンナで削ったら良いんじゃないか」というアドバイスを得ました。

父が持っているカンナを借りて、初めて「カンナがけ」をやってみました。これがなかなか難しい。歯の出具合によって木材に突き刺さってしまったり何も削れなかったりします。そのへんの調整を、トンカチでカンナを叩いて調整していきながら、欲張らずにちょっとずつ削っていきます。

その際、すでに木材を小さく切り出してしまったので、以下のようなものを作って、木材を固定させながらカンナがけができるようにしました。

職人は道具を自分で作り出す、というところを地で行ってる感じがして、ワクワクしますね。

カンナで削っていって、とても良い傾斜を作ることができました。そして、木材の角を丸くして、表面をなめらかスベスベにするために、紙やすりをかけていきます。60番から初めて、最後は1200番までかけました。

その結果が以下です。

切り出した時の印象から、だいぶ「ちゃんとしてる感」が出てきたかな、と思います。

実際に手を置いてみると、ErgoDash向けに作ったパームレストと違って、手のひらに角が刺さっている感覚はなくなり、なめらかな木の上に手のひらを置いている、優しい感じに変わりました。成功のようです。

ここから、木材を僕の手から出てくる汗などの不純物から守るために、保護材を塗っていきます。今回も、オイルステインと蜜蝋(みつろう)を塗りました。

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塗った直後は「あれ、ちょっと失敗したかな」という印象があったのですが、乾くとまた印象変わるかな、と期待して、一日乾かしました。

最終的に仕上がった姿が、以下となります。

味がある色に落ち着いて、いい感じになりました!

三角形に切り出した部分についても、Claw44の形状にほぼほぼ沿っているようです。

手を置いてみると、しっくり来ていることがわかります。

最後に、底面にフェルトを貼ります。この際、前回は安定させるためにフェルトと木材の間に薄い両面テープを貼って高さを作り出したのですが、今回は厚みが1mmの両面テープを使いました。

無事、できあがりました。自分の期待以上に仕上がってくれました。

まとめ

今回は、Claw44向けのパームレストを自作した話を紹介しました。木材や保護材はErgoDash向けのパームレストを自作した時の余り物なので、コストはほぼゼロです。しかし、前回の反省を活かして、更に良いパームレストを自作することができたかな、と思っています。

特に、傾斜を付けたことについては成功でした。が、基本的に成功なのですが、傾斜がついた分、手のひらの高さが下がるため、キーの最上段がほんの少しだけ遠く感じるようになってしまいました。特に今はキーキャップはDSAプロファイルという「全部同じ高さ」のものを使っているのもあって、ちょっと気になるように感じ始めました。

この問題を解決するために、パームレスト側をもっと高くするのか、キーキャップをDSAではなく別のものにするのか、いくつかの選択肢があります。これらをどれも自由に試していけるのが、自作キーボード、自作パームレストの大きな魅力かな、と思います。

ホームセンターで木材、保護材、そしてちょっとした工具さえあれば、誰でもパームレストは自作ができます。ぜひ興味があればチャレンジしてみてください!

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