インターネットが使えない人々にもGoogleアシスタントが利用されているインパクトの大きさ

僕以外の Assistant GDE に教えてもらった素晴らしいサービスがあるので、ちょっと紹介してみたいと思います。

今年のGoogle I/O 2018では、Googleアシスタントを利用可能なデバイスが世界には既に5億台あることがアナウンスされました。 5億台と聞くととても多い印象がありますが、本当に世界中を5億台で網羅できているかというと、残念ながら違います。 Googleアシスタントだけではなく、そもそもインターネットがまだリーチできていない地域も多く、その地域に住む人々は、 通話やSMSのみが利用可能な「レガシーフォン」を利用しています。

レガシーフォンでは、インターネットでのパケット通信はできませんので、普通に考えたらGoogleアシスタントも利用することが できません。これを聞いて、「残念だ、インターネットが来るのを待つしかない」と諦めてしまう人は多いと思いますし、 事実僕もそう思いました。

しかし、Googleアシスタントは、Voice User Interface で利用できることが特徴です。技術はどうであれ、ユーザとGoogle アシスタント間の声のやり取りは、レガシーフォンにおける音声通話と、なんら変わりはないはずです。

コロンビアのインターネットがまだない人々のために、現在「My Line powered by Google」というサービスが提供されています。 ぜひ以下の動画を見てみてください。

レガシーフォンから、ユーザは以下のようにして、Google アシスタントを「レガシーフォンからのインターネット接続なしで」 利用することが可能です。

  1. 「ユーザ」- 電話番号 6000913 に電話する。
  2. 「レガシーフォン」- 相手からのウェルカムメッセージが流れ、何か質問があるかを促してくる。
  3. 「ユーザ」- 「今日の天気は?」と話しかける。
  4. 「レガシーフォン」- 「今日の○○地方の天気は晴れ、最高気温35度、最低気温(ry」と流れる。

そう、レガシーフォンから流れてくる声の主は、Google アシスタントです。つまり、ユーザは My Line を通じて、Google アシスタント と「音声通話」ができるのです。

この電話番号 6000913、何かに似ていませんか?

6000913
Gooogle

シャレが効いていて、でも覚えやすい(?)ですね。

インターネットを利用できるかどうか、あるいはインターネットをフルに使えるか、もしくは制限を受けて限定的な情報にしか アクセスできないか、といった要因で、世界中で情報格差が広がってきていて、その差はどんどん極端になっているのではないか と予想できます。インターネットというインフラがそこにあるかないかだけで、大きな差が生まれてしまうわけです。しかし、 世界中の人々が平等に情報を利用できること、これを目指さなければならないはずです。Google アシスタントもそうです。誰しもが Google アシスタントを利用できる、そういう環境が整って初めて、Google アシスタントが今までのどのプラットフォームよりも プラットフォームなった、と言えるかと思います。

この My Line は、Google アシスタントの利用について、インターネットに接続できるかどうかは関係ない、ということを証明しました。

もちろん、この My Line のサービスを提供するまでには、さまざまな苦労があったと思います。ただ、ニュース記事では、この My Line は、Assistant SDK と Twilio の組み合わせで実現されているそうです。確かに、音声通話を着信し会話できる技術、 Speech to Text、Text to Speech ができる技術、そして Google アシスタントとの I/O をしてくれる技術、これらを組み合わせれば 十分に実現できるな、と思いました。どれもすでに広く利用されている技術ですので、それらの組み合わせが新しい価値を生み出した ということで、本当に素晴らしい組み合わせだな、と思います。

My Line によって、Google アシスタントが利用可能なデバイスの数は、「5億台 + My Line 利用者数」になりました。このポテンシャル は、きっと予想よりも大きいのでは?と個人的には考えています。同様のサービスが、コロンビアだけでなく、もっと多くの国々の 方々にも Google アシスタントを届けられる、そしてインターネットの利点を享受できる、そんな大きな可能性が広がっていると 思います。

ちょっと朝から興奮したニュースだったので、ブログエントリを作ってみました。

この前のイベントで僕は 「Google アシスタントはインターネットである」 と言いました。このサービスを見て、 「お、冗談でも誇張でもなさそうじゃないか」とちょっとでも思ってくれたら、僕は嬉しいです。

Source: My Line lets Colombians call Google Assistant - venturebeat.com

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