ABQの体験は「高級」でした

QMK FirmwareおよびVIAをサポートしているキーボードは、ファームウェアを書き換えることなく、キーマッピングの変更を行うことができます。そのキーマッピングの変更をウェブブラウザから行うことを可能にする Remap がありまして、Remap開発チームが毎日開発を進めています。

今まで開発チームでは ProMicro(ATmega32u4)しか検証対象の MCU を持っていなかったのですが、この程 ATmega32u2 が採用されている「ABQ」という名前のキーボードをその作者の方からご提供いただきました。本当にありがとうございます!

RemapはChromiumベースのウェブブラウザが提供しているWebHID APIを利用しています。そのため、幅広い環境で手軽にキーボードのカスタマイズが可能となります。さらに、キーボードには様々なMCUが採用されていますので、基本的にはMCUを選ばずにRemapを利用することができるようになることがゴールです。そのため、こういったご提供は本当に大きな貢献であり、ありがたいことです。

開封の儀

では、ABQを開封していきたいところですが、まず箱を受け取った瞬間に思ったことがあります。

「重い!」

「高級!」

ずっしりとしている、という表現ではなく、「重い」です。覚悟して持たないと、落とします。さらに、足の上に落ちたら、高確率で怪我をします。それくらいの重さがあります。たぶん 2kg ちょいはあるんじゃないでしょうか。測ってませんが。

そして、光沢を抑えた黒色の箱が、高級感を醸し出しています。

では、上蓋を開けます。

横長のゴムは、おそらくキーボードの底面に貼るものかなと思いますが、よくわかりません。HAAH というシールは、ブランド名かなと。そして、六角レンチが付属されています。工具がついているのは嬉しいですね。

この時点では、まだキーボード本体は見えません。さっそく黒色のクッションを外してみましょう。

おおお!みえてきました!白い紙に包まれています。なんか、iPhoneを開封するときのような体験に近い感覚がありますね。

実はここからがちょっと大変でした。キーボード本体がすごく重く、黒い色のクッションに余裕なく収まっているため、キーボード本体を取り出すのにかなり気を使いました。ここで落として傷つけてしまったとかホント最悪なので、慎重に取り出しました。

おそらく上の写真のように置いたままでは、取り出すのは至難の業です。結局僕は箱を縦にして、重力を使いながら取り出しました。

白い紙を剥がしていきます。

見えてきました!

プレートについても、傷つかないように薄いクッションが巻かれています。プレートを取り出します。

基板が収まっていますが、固定されてはいません。この基板には、ダイオードやMCU、キーソケットなどがすでに実装されていますので、はんだ付け作業は必要ありません。

プレートはこんな感じです。

それぞれのネジには、ゴムのクッションが付いています。いわゆるガスケットマウントですね。

組み立て

ABQの組立方法は、説明の必要がないほど簡単です。

  • プレートにキースイッチをはめ込んでいく。
  • キースイッチの端子を折らないように気をつけながら、基板をプレートの裏側から取り付ける。
  • ケース本体のUSB端子の穴に基板のUSB端子を合わせながら、基板とプレートをケースに入れる。
  • 付属の六角レンチで、ネジを締めていく。
  • キーキャップを各キースイッチに取り付ける。

最初はXDAのキースイッチを取り付けてみましたが、ちょっとしっくり来なかったので、DSAに変えてみました。

DSAのキーキャップは1.25uの大きさも持っていたので、いくつかそれにしてみました。

本来であれば、もっとシブく落ち着いた色のキーキャップであれば、シルバーのケースにもっと合うと思うのですが、残念ながらカラフルなキーキャップしか余っていませんでした。

昨年の前半まで使っていたFILCO Majestouchのパームレストを押し入れから引っ張り出してきました。高さは申し分なく、いい感じです。ケース自体に傾斜が予めついているのと、数字行がないので、キーキャップはDSAやXDAといった平らなものでも問題ないですね。

使用感は「高級感」

といっても、あまりキーボードをいろいろ試した経験がないので、あくまで主観となるのと、普段使っているLunakey Miniが比較対象であることをご了承ください。

まず、打鍵音ですが、キースイッチの音がメインで聞こえてきます。若干ケース内の音が聞こえてきている(つまり反響音?)気もしますが、それも耳を澄ませて聞いてみたらって感じです。

ルブしたGateron YellowキースイッチとDSAキーキャップの組み合わせですが、なかなか良い音を奏でてくれます。ケースの重さが寄与しているのでしょうか、高い音は抑えられていると思います。打鍵している風景を撮影してみました。

いかがでしょうか?キースイッチが違えば、もっと良い音を出すことができると思います。また、キータイピングの練習なのでかなり急いで打鍵しているのですが、もっとゆっくり打鍵すれば、音もかなり違うと思います。

見た目は「如何にも硬そうだなぁ」というプレートですが、実際に打鍵してみると、底打ちしても指が受ける衝撃はさほど感じません。おそらくネジに取り付けられたゴムが緩衝材として機能してくれているのではないかと思います。打っていて、安心するという感じです。

ABQは重いので、打鍵していてキーボードが動いてしまうことはありえません。

その他の感想

ABQは、Row Staggeredです。そのため、左右分割型でColumn StaggeredなLunakey Miniを毎日使って来ている僕にとっては、ABQはすんなりすぐに使えるキーボードではありません。

この記事はABQを使って書いているのですが、今この部分を書いていて、最初よりはかなり打てるようになってきました。Lunakey Miniでタッチタイピングを覚えた身としては、Row Staggerredで今普通にタッチタイピングできているのは、ちょっと驚きです。もちろん行方向にズレているので、最初は打ち間違いの連続でしたが、慣れるのは早いですね。Row Staggeredならではの「t と y が遠い問題」を再認識しました。仕方ないことですが。

ABQは一体型なので、左右分割型よりはもちろん両手を中央に配置しないといけません。ここは左右分割型とは利点欠点がはっきり分かれるところですね。

Lunakey Miniからキーマッピングを移植してきましたが、ひとつだけ気になったことがありました。それは「z 行のキー数が一つ足りない」です。Lunakey Miniの場合は、左右それぞれ6個のキーがありますが、ABQの場合は11個なのです。そのため、個人的には右端をShift にしていて、その隣は「?」にしていたのですが、それを割り当てるキーが物理的に足りませんでした。そのため、親指で押すことになる最下段の右端のキーに「?」を割り当てて逃げました。

個人的には、もう一つキーが欲しかったなぁ、と思いましたが、キー配列の全体感は現状がとても美しいので、仕方ないことかなぁと思います。

まとめ

ABQは高級感のある40%一体型のキーボードですが、なんとこれだけの質感を出していながら、$220 という価格です。ほとんど儲けはないんじゃないか、と思うほどです。もし次の改良版が出るならば、絶対に値上げしたほうが良いと思います。そうであったとしても、納得するに十分な質感を有していると思います。

ABQキーボードのウェブサイトは、以下となります。

ABQ — HAAH

ぜひお試しいただければと思います!

・・・僕もいつかこういうキーボードを作ってみたいものです。

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