Ender-3 V2でのコールドプルの方法

3Dプリンタは、ホットエンドによりノズルを高温に熱して樹脂を溶かして出力する構造のために、どうしてもノズル周りのトラブルが出てきます。長く使っていると、ノズルにフィラメントが詰まってしまったりしてきて、出力が安定しなくなってきます。

僕は2021年4月に Ender-3 V2 を購入し、まだ半年も経っていませんが、稼働率は今まで結構高く、毎日何かしら出力させている状況でした。そのためか、「1層目の途中で一切出力されなくなる問題」が出てしまい、そのためにいろいろと手を打ってきました。その中の一部は、以下にまとめてあります。

いろいろ試行錯誤している中で、ノズルの汚れを除去するために「コールドプル」と呼ばれている方法があって、それも試してみました。以下は、Ender-3 V2 でコールドプルを試してみた時の手順です。

コールドプルとは

ノズルの内部の汚れを除去するために行う「コールドプル」とは、簡単に説明すると以下のような感じです。

  1. ノズルを高温にしてフィラメントで内部を満たす。
  2. ノズルを冷やす。
  3. フィラメントを引き抜く。

最後に引き抜く際に汚れもフィラメントにくっついて取れる、という理屈です。

チューブを抜く

ではさっそく手順を紹介します。まず、ホットエンドのカバーを外します。そして、ホットエンドに差し込まれている、フィラメントを送り込むためのチューブを抜きます。

この際、簡単には抜けないと思います。まず、ホットエンドを加熱します。僕が試した時には、230度まで上げました。すると、ホットエンド内に残留していたフィラメントが溶けて。チューブを引き抜くことができるようになります。にゅるっといった感触と共に抜けると思います。

チューブのみ抜ければ良いのですが、今回は継手の部品も一緒に取り外しました。

ホットエンドが200度以上に加熱された状態での作業なので、かなり危険を伴います。触れただけで火傷になると思うので、十分に注意して作業しましょう。

掃除用のフィラメントを準備

コールドプルに使うフィラメントを予めスプールから切っておきます。

汚れ具合にもよると思いますが、どんなに長くても 1 m あれば足りるかと思います。30 cm でも十分かもしれません。

今回は、PLA を使います。

ノズル内部をフィラメントで満たす

230度に熱せられた状態で、フィラメントをホットエンドの上からノズルに向かって差し込みます。

完全にノズルが詰まってしまっていなければ、手でフィラメントを押し込んでいけば、ノズルの先から溶けたフィラメントが出てくるかと思います。

にょきにょきっと出続ける状態にします。つまり、押し込み続けます。ノズル内部をフィラメントで満たすことが目的なので、ある程度のフィラメントの長さが必要、ということです。

ホットエンドを冷やしていく

手で押し込んでいる状態で、ホットエンドを冷やしていきます。

この際、0度設定にしてしまうのではなく、何か印刷する時にベッドを熱する時の温度まで下げます。今回は PLA を使っているので、60度まで下げることにしました。

下げている途中でも、フィラメントを押し込み続けます。ホットエンドのカバーを取り外している状態なので、カバーに付いているファンによる空冷が効かないため、冷えてくるのに結構な時間がかかります。1度下がるのに 5 〜 10 秒程度かかっていたように思えます。

手が疲れますが、これでノズル内部がキレイになって美しい印刷が戻ってくると思えば、我慢できます。押し込みながら、待ちましょう。

フィラメントを引き抜く

十分に冷えました。

さあ、コールドプルの山場が来ました。今まで押し込んできたフィラメントを、引き抜きます。

ある程度力を加えて、一気に引き抜きます。えいっ!と。

今回試した時には、一発で引き抜くことに成功しました。もし結構な力を加えても引き抜けないときは、温度を5度ずつ上げていくと良いそうです。

引き抜いた後のフィラメントの先は、以下でした。

ほとんど汚れが付いてこなかったですね。

もう少し黒くなることを期待していたのですが、実はノズルを交換したばかりで、交換後 3, 4 回しか出力していないために、たいして汚れていなかった、ということかと思います。数ヶ月単位であれば、おそらくもっと黒い汚れが付いてくるはずです。

汚れがひどい場合は、また熱して、フィラメントを押し込んで、冷まして、引き抜く、を数回繰り返します。徐々に汚れが付かなくなってくれば、コールドプル成功です。

元に戻す

一通り終わったら、元に戻していきます。チューブを戻す際には、ホットエンドを再度熱した状態でチューブを奥まで差し込んで継手を取り付けます。差し込み量が甘いと、それはそれでトラブルの原因になるので、気をつけましょう。

まとめ

以上が Ender-3 V2 でのコールドプルの手順でした。安定した出力を継続させるために、時々コールドプルを行うと良さそうです。

次のコールドプルでは、もっと黒いフィラメントを目にすることになるのかな、と内心期待しています。。。

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